各位お疲れ様でした。
前回に引き続き、ISF AWARDS 2016の審査をお手伝いさせていただきました。
エントリー作はプレイできるものは全てプレイさせていただきました。
その中でアドバイス、というと大げさですが、思ったことを書いておきます。
以下、私個人の見解となります、留意の上お読みください。
貴方のゲームを貴方のものでない環境で動かす準備をしておきましょう
物によってハードウェアであったりOSであったり、エンジン由来だったりと様々ですが、 とりあえず、遊ぶ側に開発リソースをそのまま渡したり開発環境をセットアップさせようとするのは可能な限りやめたほうがいいです。
開発メンバー同士でのやり取りならありえないでもないですが、遊ぶための手間が格段に増えます。また、開発環境や開発中のリソース全般は非常に重要な情報です。
「ゲームだけ」を「すぐに」ができる環境を用意して渡しましょう。 これをワンクリックとは言わないまでも、すぐにビルド・パッケージング・配布できる環境は整えておくとテストやデバッグ・イテレーションへの恩恵も大きいです。
いろんな環境で動かせたほうが良いという前提はありますが、自分で動作確認が取れない環境向けのパッケージングは予期せぬ不具合の元になるので、よほど事情がない限りは調べるだけに留めたほうがいいと思います。
また、アセット類のデータに関しては暗号化とまでは行かなくても簡単にはゲーム外環境で見られないようにしておくとよりベターだと思います。
なお、実体験に基づく私見ですが、開発が佳境に入ってからビルドとかパッケージング・ディストリビューションに手を出し始める状況は大抵トラブルのもとになりますので事前に調べたり手を付けておくなどしたほうがいいと思います。
送付するビルド(パッケージ)データについて
前の項とちょっとかぶりますが、別立てで。
別途パッケージデータを送付する場合、ビルド(パッケージ)だけではなくカンタンで構わないのでテキストなどで説明を同梱しておきましょう。 本当にゲーム内で一から説明してくれるなら必要ありませんが、大抵の開発途中のゲームはそうではないと思います。
とはいっても何をどこまで書けばいいかわからないと思うかもしれません。
何もライターよろしく印象的なテキストをかけというのではありません。 普段あなたが遊んでいるゲームのパッケージやマニュアル(取扱説明書)、Readmeが大いに参考になるはずです。 また、普段流してしまいがちかもしれませんが、ゲームのリリースに関わるプレスリリースはビジネス定形的な書き方としてもとても参考になると思います。
それでもそんな時間はない! というそこの貴方! エントリー時に書いたゲーム説明をそのままコピーするのでもいいですよ!
(エントリー時のフォームに書いてあるからええやろ! と思うかもしれませんが表として別にまとめられてたりするので、そのゲームを遊ぶ時に見るってことは結構難しかったりします)
動画について
今回からPVじゃなくてもOKになってましたが、PVがあるならそのほうが断然いいです。 プレイ動画にしても短くまとまってるのがありがたいです。
PVの優位性はかっこいいとかじゃなくて短い時間で多数の情報を一気に与えられることですので、短い時間で済むと大変ありがたいです。
VR周りについて
普段Oculus RiftをメインPCに接続したまま色々作業しています。
今回いくつかのタイトルで起動した際にVR用のゲームが始まる前にOculusのウィンドウが立ち上がったり、SteamVRのポップアップが出てくるなどのデバイス初期化処理(?)が発生したり、VR非対応なのにオーディオだけRift側に流れたりウィンドウ操作ロックされたりしてしゃーないので通常の再生先に無理やり切り替えたらRiftのヘッドフォンがその後正常に動作しなくなる挙動が見られるタイトルがありました。 VR専用なら問題ないのですが、VR対応のタイトルやVR非対応のタイトルでこういった挙動だと個人的にはつらいです。
Riftを(物理的に)外しておけよという気もしますが、配線的に面倒なので繋ぎっぱなしにしてるんですよね... 動作確認と言っても揃えるには高価な機材なので難しいかもしれませんが、VRモードに入るかどうかのランチャーの作りやゲームエンジン側の設定でどうにかなるならどうにかして欲しいです。
プレイ時間の長さについて
概ね、20分~1時間プレイして評価していきました。
当然全ゲームオールクリアだ! とは行きませんので、ゲームの基本的な流れが分かるまで遊んで、遊んだ流れの中での表現力や展開力をベースに、プレイ後の流れを予測、リリース前のものであれば開発が進むとこうなっていくのではないかという期待、を加味する形で評価しています。
となると、パッと面白さがわかるゲームが有利で、面白くなるまで時間のかかるゲームは不利になるのかな、と思われるかもしれません。
しかし、面白くなるまで(クリアするまで)時間がかかるといっても、プレイヤーがそこに至るまでプレイを続けたくなる取り組みは必要なはずです。
シナリオ・ストーリー上、あるいはゲームシステム上、どうしても盛り上がりが後にくるということはあるかもしれませんが、それ以外の例えばフォント選定やテキスト表示のレスポンス、演出やシステムの足まわりなどなどゲーム内のあらゆる要素でもプレイヤーを惹きつけるための工夫ができると思います。
どんなゲームでも、チュートリアルや導入部は結構参考になりますし、自分が詳しいゲームについて一から自分で説明し直すのもいい訓練だと思います。みんなが簡単だライトだと言っているものでもふたを開けてみれば実際複雑で導入が秀逸だったということもあるでしょう。 (いわゆるスリーマッチパズルでも一から説明するのは結構大変)
なんにせよ、すごいモノは往々にしてこういうのが評価されるだとか売れるだとかいう概念を完全に覆す形でやってきますので、こういった傾向を調べることは重要ですが、その傾向に染まる必要はないと思います。
個人の推しゲー
最後に今回のISF AWARDS 2016で私個人が推した作品を記載しておきます。
総合: GIGANTIC WRECKER
アート: TIME LOCKER
サウンド: Black Bird
テクニカル: GIGANTIC WRECKER
ナラティブ: Black Bird
ゲームデザイン: Replica or GIGANTIC WRECKER
特別賞: マヨナカ・ガラン
以上です。