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selecterからのメールインタビュー日本語原文

最近始動したブラジルのゲームメディア selecter からメールインタビューの依頼が来ており、大体BitSummit一週間ぐらい前に回答していたのですが、記事が先日公開されました。

Doujin: o cenário independente na terra mãe dos videogames - Mercado

うん、ポルトガル語ですね。

selecterとのやりとりは英語で行いました。 ただ、インタビュー部分については自分の回答(日本語)がどうしても長くなってしまったので、英語翻訳をPLAYISMさんに協力頂きました。

つまり、英語の質問->日本語の回答->回答の英語訳->記事のポルトガル語訳 という形になっています。

ポルトガル語基本読めないのでどういうニュアンスになってるか微妙ですが、翻訳において大体ニュアンスは変わってしまうのと、回答全てが掲載されているわけではないので、以下に回答の日本語原文を載せておきます。

Q.質問の日本語訳(というかこちらの解釈) -> A.日本語の回答 という形で記載します(てにをはレベルで少し修正しています)。

Q.いつごろスタジオを作りましたか? そしてゴールはどのようなものですか?

A.2012年9月にSOWN2012に出場するのを機にFullPowerSideAttack.comというチームを結成しました。 FullPowerSideAttack.comは「プレイヤーに様々な新しい感覚を与え続けること」を目標(ゴール)としています。

Q.何名で活動を行っていますか?

A.基本的になんも1人で開発を行っています。BGMや販売などで知人・友人にサポートをお願いすることがあります。

Q.日本の開発者コミュニティにとってBitSummit2014はどのような重要性があると思いますか?

A.BitSummitができる前の日本国内での同人イベント・インディーゲームイベントというのは基本的には開発者同士・開発者とプレイヤーのコミュニケーション・円滑なイベント運営が優先されていました(勿論メディアが取材できないわけではありません)。 BitSummitはメディアを招待し、様々なゲームをメディアに認知してもらおうというユニークなイベントだと思います、より多くの人にゲームを遊んでもらいたい開発者にとっては大きなチャンスとなるでしょう。

Q.あなたの今までの作品は音楽に注力しているように思えます。どのような音楽からインスパイアを得ていますか? それは日本のものでしょうか? 他の日本のインディーゲームからインスピレーションを得ることはありますか?

A.実はそこまでたくさんの曲を聞くというわけではありません。ただ、所謂電子音楽と呼ばれるものに興味が強いようです。 ノンゲームアプリであるARP-BOXはある程度ランダムに発音する実世界の現象とアルペジエイターを組み合わせたものです。BREAKS(BREAKS LP)はリズムに乗るだけになっていた音楽ゲームにゲームそのものに楽曲を再構成する機能をもたせようとしたものです。TorqueLは音楽が主軸というわけではありませんが、プレイヤーキャラクターの回転に合わせてBGMの再生を制御することにしました(ソノシートってご存じですか?)。

BREAKS(BREAKS LP)はゲームと音楽の関係について深く考えていました。 これは特定のゲームに影響を受けたというよりは、自分が立てた一つの仮説に従って行動したものです。

技術的な習熟や優位性は抜きにして、ビデオゲームの文化的な地位はこの日本においても依然として低いままです。個人的な感覚としては小説と映画とゲームなどあらゆるジャンルの間に表現物としての優劣はないと考えています、ですが社会的にはそうなっていないようです。

聞くところによれば、小説や映画、またテレビも当初は社会からは批判され、受け入れがたいものとされていた時期が存在していたそうです。

ゲームはそのまっただ中にあるのではないか? 社会に受け入れられる条件とは何か? 自分は「過去の表現媒体と独立した不可欠な要素が存在すること」であると思います。 映画は小説と同様に物語を伝達することが出来ますが、映像と音楽という要素があります。 テレビは表現できる事自体は映画と同様ですが、電波を使うことでほぼ全国に映像を送出することができます。

ではゲームの「過去の表現媒体と独立した不可欠な要素」とはなにか?

双方向性、インタラクティブ性でしょうか?

自分は「プレイヤー(閲覧者)をも内包するシステム」にあると考えています。 今現在、ゲームでストーリーを語る、ナラティブであろうとする試みは全世界で多数行われています。

一方で、プレイヤーの個性を取り込み、表現物として変換して出力するシステムとしてゲームを利用しようという試みはあまり行われていないようでした。

プレイヤーのゲーム操作を、異なる表現物として変換するということにおいては音楽がもっとも扱いやすいテーマに思えたのです。

Q.メインとしているプラットフォームは何でしょうか? 他の日本語インディー開発者はどのプラットフォームを選んでいるのでしょうか?

A.FullPowerSideAttack.comではプロジェクトの性質に依存して決定しています。

ARP-BOX (Non Game) は Android,iOSなどのタッチパネルを持つ端末

BREAKS LP は Leap Motionが利用可能なPC

TorqueL は 物理的なゲームパッドを備えているコンソール(例えばPS4,PSVita)。

日本国内では個人がある程度自由にゲームを制作し、販売できるプラットフォームとしてPC向けやAndroid/iOS向けが選ばれることが多いと思います。

Q.ゲームスタジオとしての収支バランスはどのようになっていますか? どのようにスタジオを維持していますか?

A.今のところ、ゲーム開発は副業であり。主な収入は別に得ています。 勿論、ゲームだけで生活できれば嬉しいのですが、自分はゲーム開発をライフワークとするつもりであり収益を上げることは必ずしも最優先ではありません。

Q.あなたのスタジオの名前はとてもキャッチーで印象的です。日本のプレス・メディアはインディーゲームについて報じていますか? それは広く知られていますか?

A.最近は少し記事が増えてきましたが、日本国内のインディーゲームあるいは同人ゲームについて日本のメディアに記事が掲載されることは稀なことです。ただ、取り上げられたとしても作品固有の記事であることが殆どです。

Q.インディーゲーム開発において何が最も大きなチャレンジでしょうか?

A.現時点で最も大きなチャレンジは、日本国内の個人開発者のゲーム(TorqueL)をPS4/PSVitaでリリースしようとしていることです。これは今まで様々な(本当に様々な)障壁により不可能だったことです。とにかくリリースできることを優先にしている部分はありますが、SCEJA,PLAYISMの協力により可能になりました。

Q.私達を始めとして日本国外で日本のインディーシーンについて耳にするのは非常に稀です(洞窟物語/天谷大輔をご存知でしょうか?)。何故このようなことが起こっているのだと思いますか?

A.先ず、洞窟物語は非常に幸運で稀な例と受け取っています。 文字通り全世界から様々な方の尽力が合ったにせよ、ユーザーベースで自然とあそこまで広がっていくゲームは当時、例がありませんでした。

しかし、あくまでも国内で評価されたのは洞窟物語という個別のゲームであり、その周辺の事情や状況が大きく取り上げられることはありませんでした。そのため、それ以外が存在しないように見えてしまうのでしょう。

私見としては、日本国内においては独立系開発者とパブリッシャーとプラットフォーマー、メディア、そしてプレイヤーの間で不幸な行き違いや思い違いが多発し、現在に至るまで適切にマッチングされなていないのだと考えています。

それは例えば、

独立系開発者が「パブリッシャーやプラットフォーマーはAAAタイトルしか要求していない」と言い、 パブリッシャーは「国内の独立系開発者はコンソールに出したい思っていない」と考え、 プラットフォーマーは「なぜ国内で独立系開発が少ないのだろう?」と悩み、 メディアは「海外と違い、国内には独立系開発というのはありえないのだ」と推測し、 プレイヤーは「国内に独立系開発というのは存在しないのだ」と認識する、

というような不幸な出来事です。

ただ、独立系開発者の1人であるという立場から周囲の状況を観察すると、 リリースできる機会があればリリースしたいといったような消極的な意識ではなく、明確に家庭用ゲーム機にリリースしたいと意識し、交渉や調整をするというところまで実行した独立系開発者がそもそも日本では少ないという事情もあると推測しています。

Q.何故ゲームを仕事にしようと決めたのでしょうか? 社会や家庭からのプレッシャーはありますか?

A.先ほど書いたように、ゲーム開発をライフワークにしようと考えています。主な収入は別に得ているため、現時点で生活する上でのプレッシャーはそこまで強くありません。TorqueLを早く完成させろというプレッシャーのほうが強く感じるくらいです。

Q.この数年で日本の家庭用ゲーム業界にどのような変化があったと思いますか?

A.コンシューマゲームにおいては、独創性や作品性よりも市場に合わせたゲームのリリースが優先されるようなったと思います。 ある意味ではそのカウンターとしてインディーゲームや同人ゲームといったが機能していると言えるかもしれません。

これらのジャンルやゲームはゲームの幅を広げるもので、決して対立するものではないはずだと思っています(人はすぐ対立を煽りたがりますが)。AAAタイトルやトラディショナルなゲーム、新しいゲーム、斬新すぎるゲームなど様々なものがあることで生き生きとした市場になるはずです。

ただ、自分は日本国内にいて新しいゲームに触れることがどんどんと難しくなってきていると感じています。 Steam,PSN等にとっても斬新なゲームがオンライン販売されているとして、そこまでオンラインに詳しくない人や、店頭でパッケージを買う人に知ってもらうのは現時点ではとても難しい。 オンラインでの売上比率は上昇しているようですが、パッケージ・或いは店頭での販売は依然として支配的な比率を維持しています。 ゲームショップ店頭でゲームが体験できるスペースというのはほとんど確保されていません。それ故にパッケージでのわかりやすさやPVの華麗さが必要以上に要求されているかもしれません。

PS4やXbox Oneにはゲームプレイをシェアする機能が搭載されており、ゲームを知って貰う機会を大幅に増やせる可能性があります。 TorqueLは決して華やかなグラフィックや高いスペックを持った作品ではありませんが、プレイそのものの面白さ、価値の高さは水準以上だと考えています。 今までのプロモーションでどうしてもスポイルされていたゲームプレイの面白さを広く伝えられれば素晴らしいことになると思います。