初めてのGDC Play: コストと教訓 (原題:Newbies Exhibiting at GDC Play! Our Costs and Lessons.)
この記事は James Liu 氏の Newbies Exhibiting at GDC Play! Our Costs and Lessons. を翻訳したものです。
意訳してしまってる箇所もあるので、おかしな点があったらご指摘ください。
これは一連の冒険譚の4つ目の記事です。
私たちは「片手で遊べて」「タッチスクリーンで」「仮想パッド無しで」「ターン制で」「ファンタジーではない」「12時間以上のプレイ時間のJRPGスタイルで」「iOSで遊ぶのに適切なサイズ(容量)の」 "Nameless: the Hackers RPG" を制作しました。 phew!
過去の記事は以下になります。(※全て英語原文へのリンク)
- Breaking In - Nameless the Hackers RPG
- Ranking Metrics for "Nameless" Premium iOS RPG with no IAP
- Effect of Sessions and App Gifting on Nameless AppStore Ranks
BoxCatのコアメンバーはJames(原文著者)とSteveです。 私たちはゲームデベロッパーとしての訓練を受けておらず、最近になって夢を実現するために全てを捨てました。
私たちは他業種から参入しています。 できることは他業種と同じようにB2BやB2Cのショウで対話することです。 私たちは一つのゲームが出展参加しただけであり、参考(ナレッジ)にはならないものと認識しています。 単に観察したものや実際を共有したいのです。
GDCでの Nameless: the Hackers RPG for iOS のキオスク
- iTunes Link: http://nth.box.cat
- Free Lite Version: http://nthl.box.cat
- Reviews & Mentions: http://box-cat.com/
展示への参加というものは誰にでも開かれているわけではありません。とても高価で多くの準備を必要とします。
特にモバイルでの利益は薄利であったため、GDC2013への参加を決定するのは非常に困難でした。 これは他人任せにするのではなくそれぞれが自身で明確に決定するものです。 私達が話せるのはなぜBoxCatが初作のNamelessで行こうと決めたかについてだけです。
Nameless プロジェクトについて
私たちはフルタイム2.6人分の小さなチームで9ヶ月以上働いています。 実際には4人で作業しており、2人はフルタイム、1人はパートタイム、もう1人分は友人に2,3週間ヘルプしてもらっていました。
James Liu (@JamesBoxCat)
- Project Coordinator, Game Design/Developer, Coffee Addict
Stephen Ip (@Poor_Musician)
- Music Coordinator, Game Design/Scripter, Homeless Guy
Yuichi Haga
- Art Coordinator, Game Design/Scripter, Family Man
Tony Chang
- Game Developer, Ninja
以下はNamelessプロジェクトの費用です。
費用には食費、施設や生活に関する費用は含まれていません。
生活費は場所によって異なるでしょう。 私たちのチーム内ではスウェット・エクイティーを考慮しました、これはプロジェクト費用とは分離されています。 これを読んでいるあなたは2.6人分の生活費を9ヶ月分計算することで金額を推定することができます。 私達はアメリカ カリフォルニア州 ロサンジェルスに住んでいます。
私たちがどのように予算を管理したかやプロジェクトの実行状況については、別の記事で詳細を説明する予定です。 そこにはプロジェクトを絶対正確に行う方法はないでしょう、あらゆるやり方には表裏があります。
ただ、今は費用を抑えたGDC参加に伴うコストに注目しましょう。
私たちの判断
私達がGDC参加を決定したのは2012年12月でした。 展示にはおそらく$5000-$6000ほどの高額な費用がかかることがわかっていました。
まずベースとしてKiosk(WiFi無し)で$3250,そこに追加費用としてホテル宿泊費、印刷費、サンプル、名刺、現地までの交通費、現地での交通費がかかります。
12月、私たちはNamelessを3月に$1.99でプロモーション販売することにしました。 1コピーあたり$1.99のうち、アップルへ$0.59、私達には$1.40の利益になります。 GDCのコスト補填を捻出するためには4000-5000コピーほど販売する必要と考えられました。
私たちは前もって準備していましたが、このやり方はモバイルゲームでは非常に高リスクであることがわかっていました。 最終的には、以下の様な理由で参加を決定しました。
- 私たちのゲームはプレミアム(売り切り)ゲームなので、従来のマーケティングを通じて働きかけられるかもしれない
- 私たちは業界では完全に未知の存在であり、これはジャーナリストに会う方法の一つである。
- GDCは業界のB2Bカンファレンスのため、他の開発者に会えるかもしれない
- 私たちは他に2,3のゲームの開発を計画しており、オールオアナッシングのギャンブルではない
- 私たちはゲーム業界の空気(原文では"Pulse")をより理解する必要がある
- この経験は次のプロジェクトに活かすことができる
私たちのGDCアドベンチャー
私たちはGDCで業界を一層理解することができました。 多くの才能ある開発者、パブリッシャー、学生、講演者、メディア、広告企業、開発が医者、アート、音楽、などなどたくさんの出会いがありました! 売上ですか? 多くはありません。
私たちはこの経験を糧にしようと思います。 なぜ、販売数が本来のポテンシャルに届かなかったのか、私たちはわかっているはずです。
売上へのGDC効果
私たちはいくつかの理由で出展前のアドバンテージをいかせなかったということを強調しておきたいと思います。
以下はGDC期間とその前後の売上をグラフ化したものです。
GDCは売上に関しては明らかに間接的な効果しかないことがグラフから読み取れます。 点はジャーナリストがNamelessに関する何らかの記事をポストしてくれたことを示しています。
私達が把握している記事は http://box-cat.com/ で確認することができます。
これはただ単に私たちの展示・参加の仕方の問題というわけではない重要な問題です。 様々な社会的要因・要求があります。
発売時期
他の記事で、マーケティングは開発中に可能な範囲でのみ行ったことを書きました。 それはほぼ購入してくれるであろうお客さんに向けた活動になっていました。 GDCはB2Bの業界カンファレンスですから、業界ジャーナリストには十分に働きかけられていなかったと思います。
販売開始前(GDCよりも前です)、私たちはNamelessがジャーナリストに見逃される可能性が高いと感じていました。
なぜなら、私達がリリース前のプレビューリリースなどを一切行なっていないために誰も知らないこと、iOS AppStore自体もアプリが氾濫している状態であること、などが考えられるからです。
私たちにはGDCでジャーナリストへリーチするために以下の二通りの伝え方を考えました:
- 1 私たちのゲームが発売されました! ブースでお待ちしています!
- 2 僕達のことを知らないでしょうから、ぜひ僕達のデモをチェックしてください!
そして、以下のように伝えることは考えられませんでした。
- 3 (発売済みで)僕達のファンはまだ多くないけど、ぜひデモをチェックしてみてください!
良くも悪くも、私たちはGDCの1週間前に発売しました。 もし前作などがあれば、3.の伝え方で参加していたと思いますが、この決定には満足しています。
Pocket Game Party
これはGDC中に開催されていた、モバイルゲームの会合(meet-up)です。 ここで出会った人たちをリストにしてます。
- モバイル参入済みのパブリッシャー
- モバイルマーケットへ参入しようとしているメジャーなコンソールのパブリッシャー
- モバイルマーケットへ参入しようとしているメジャーなオンラインゲームのパブリッシャー
- 翻訳サービス
- 音関連のサービス
- アート関連のサービス
- 定着しているゲーム開発スタジオ
- マーケティング・アドバタイジングビジネス
- ジャーナリスト
- インディー開発者、アーティスト、ミュージシャン
- 学生
- SDK関連企業
私たちはたくさんの人に出会い、たくさんの新しい友人を作りました。 これは私達にとって、業界について相談できる相手ができたということで、大変重要です。 沢山の人達が、飛び込んできた私達に快く経験を伝えてくれました。
こういった人々との出会いはGDCへの参加を簡単に正当化できる理由になるでしょう。 私たちの能力では展示でインパクトを与えられなかったことに注意する必要はありますが。
誰にでも開かれたパーティーでした。
Indie Mobile Speed Pitch
まるで合コン(Speed dating)のようにメディアジャーナリストにアプリの説明をする、Indie Mobile Speed Pitchにも参加しました。 www.148apps.comがセットアップしてくれました。
参加したいグループはそれぞれEventBriteで限定チケットを手に入れる必要がありました。 開始の合図とともにそのグループのテーブルにジャーナリストが集まり、去ってしまうまでの間(5分間)の間にプレゼンをします。
以下のようなメディアジャーナリストが参加していました。
- App Advice
- Gamezebo
- IGN
- Pocket Gamer
- Slide to Play
- Touch Arcade
- TUAW
- 148Apps
これによりNamelessの認知度を高めることができました。
- http://www.148apps.com/news/gdc-2013-nameless-hackers-12-hour-storydriven-rpg-play-hand/
- http://www.slidetoplay.com/previews/best-of-the-mobile-speed-pitch-at-gdc/
- http://toucharcade.com/2013/04/04/nameless-the-hackers-review/
GDCのプレスリスト
GDCの展示メンバーはキオスクだけを与えられるのではなく、「連絡可」として登録されたプレスのリストをもらうことができます。 私たちは3月初めにGDCからメールを受け取り、すぐにメールを作って送りました。
ただ、遅すぎたのか、事前告知としては効果はさほどありませんでした。 おそらく、こういったメールは他の人も同じようにメールを送るために凍ったメール(cold-emails)になります。
多くの送信先はモバイルに集中していないか、Apple iOSに関連していませんでした。 それでも、いくつか返信をもらえました。
これは2011年の11月にBen KucheraがRumJumpDevで発表していたビデオのおかげです。
- ビデオがあること http://www.youtube.com/watch?v=BZTgrpH8QT8
- プレスキットがあること http://box-cat.com/nameless/ (Vlambeerに感謝します:http://dopresskit.com/)
- 画像があること
これにより、GDC前からGDC期間中にかけてNamelessの知名度をより向上させることができました。
- http://www.siliconera.com/2013/03/23/a-role-playing-game-visual-novel-all-about-hacking/
- http://kotaku.com/eleven-indie-jrpgs-on-my-radar-472671723
- http://jayisgames.com/archives/2013/03/nameless_the_hackers_rpg.php
- http://2p.com/game/detail.htm?id=51343c7ec01d96d3b19f84c9
- http://operationrainfall.com/nameless-an-rpg-about-hacking/
また、プレスリストはIndieGamePodの"Action(彼の名前です)"とのインタビューに結びつきました。 彼のサイトは “Experimental Game Dev Podcast Show” で、私達のインタビューは次のURLから聞けます。
http://www.indiegamepod.com/?p=3071
セールスへの効果: That's it? Lessons Learned
深く留意して欲しいのは、Namelessは決してiOS storeでは要望が多くないニッチなJRPGセグメントの有料プレミアム(売り切り)ゲームだという点です。 フリーミアムゲームにすればメディアにも取り上げられ、ダウンロード数も多かったでしょう。
さらに言えば、(私たちの能力や余力で)可能であれば、ジャーナリストに大きく取り上げてもらうためにどこかに排他的情報提供をすればよかったかも知れません。 私たちはこういったことを"Media holds"と呼ぶのだと後日知りました。 すでに発売済みだったので、実行しませんでした。
今思うと。 ジャーナリストを理解できてたなら、もっとゆっくりと宣伝やファンベースを構築していたでしょう。 もし、ローンチと同日に複数のメディアによるパワーを合成することができていたなら、より良かったことでしょう。
Namelessは最高ランク120位で、もしうまくやっていれば100位の壁を突破できていたでしょう。
イベントとネットワーキング
他の業界と同様に、私たちは展示だけではどうにもならないことを認識していました。 他のイベントにも全て出席しなければなりません。ミーティングを設定する必要があります。 これには時間と事前の計画が必要です。 ここに私達が参加したもののリストを掲載します。
- Annual Fellowship of Game Developers Parties Dinner
- Met other Developers that were at GDC Play
- Had meetings with other businesses using the GDC meetup portal
- Had meetings with journalists, to get to know them
- All Other Parties are Trite and Dull
- Destructoid's "GDC'13 Hangover Party"
- Went to a few other parties to network (sounds fun, but expensive)
- Had lunch/dinner/drinks with industry that have been there a few years
私たちのGDCまとめ
- 私たちははじめに設定したゴールをほとんど達成することができました。
- 私たちは未知(Unknown)であり、ジャーナリストと会うこと (達成)
- 他の開発者と会うこと (達成)
- これから2,3のゲームを開発できることに確信を持つこと (達成)
- 業界をより理解すること (達成)
- ローンチとは異なる計画に着手しました。そう、次のゲームです。
- 展示コストに見合った価値はあったか? 私達自身は「はい」と答えます。私たちは次に取り組むべきことを深く理解しました。それは仕事を保証するものではありませんが、連絡をとることができます。
- 私たちのキオスク(展示場所)に来てくださったみなさんはとても知的で丁寧に話してくれましたが、私たちは不在にしてしまったりと十分に対応できていなかったと思います。
- 次回は参加経費をアプリケーションの売上だけから捻出しようとして数えるようなことは避けたいと思います。
次回以降のトピック
以下の様なトピックを取り上げていこうと考えています。 時間がかかると思うので、できたものから投稿していきます。 リストは面白そうなことがあれば逐次追加されていきます。
- Industry Landscape we observed as a picture
- Our personal thoughts on the Premium iOS mobile market
- What empowered us to build a mobile game
- How we built Nameless - Re-imagining JRPG for Mobile
- What we could have done to improve Nameless
- What's next?
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